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歯のブログ

お口につけるゴムのマスク

突然ですが、みなさんは”ラバーダム防湿”という言葉を聞いたことがあるでしょうか。

ラバーダム防湿とは虫歯や歯の根っこ(神経)の治療を行う際、ラバーダムと呼ばれるゴム製のシートを用いて治療する歯のみを隔離することで、治療中の歯の感染予防や治療精度を向上させることを目的として行われます。

お口の中には多くの細菌が存在しています。もちろん唾液の中にも存在しています。

虫歯を除去し、細菌が全く存在していない状態になったとしても、そこに唾液が少し触れるだけで無数の細菌が付着してしまいます。その状態でお薬を入れたり、詰め物を詰めてしまうと細菌が残ったまま治療が完了したことになってしまいます。

このようなことが起こらないよう無菌的に治療を行うために必要なのがラバーダム防湿なのです。

特に、歯の根っこの治療を行う場合には無菌的に治療を行うことができるかどうかで治療の成功率が大幅に変わってしまいます。

ラバーダム防湿を行う目的は主に以下のようなものが挙げられます。

【無菌化】

治療中の歯をラバーダムによって隔離することで唾液などの感染物質を排除し、無菌化することで治療の成功率を向上させる。

【器具の落下防止】

小さな器具を使用する際、口の中への落下を防ぎ、誤飲・誤嚥を防止することができる。

【口腔内の保護】

歯を削る機械や強力な薬剤によって舌や頬の粘膜を傷つけてしまうことがなく、安全に治療を行うことができる。

【治療精度の向上】

治療したい歯だけが露出できるので見えやすくなります。また、普段は歯の上に舌や頬が覆い被さってくるため、治療したい歯がかなり見えにくい状態にありますが、ラバーダム防湿を行うことでこれらがゴムのシートによって排除され、術野が広くなります。したがって、治療しやすい状態になるため、精度が上がります。

しかしながら、上記のようにさまざまなメリットがあるにも関わらず、実際にラバーダム防湿を行っている歯科医院はあまり多くありません。2021年に発表された歯の根っこの治療を行う際のラバーダム防湿の使用率に関する文献では、”必ず行う”と回答したのが専門医で60.0%、一般開業医では14.1%という値でした。

(文献|浅井知宏ほか : 歯内療法におけるラバーダム防湿に関する調査, 日歯内療誌, 42(3) : 166-173, 2021.)

つまり、歯の根っこの治療を行う際に必ずラバーダム防湿を行う一般歯科医院はかなり少ないということがわかります。

当院では治療の成功率を上げるため、また、患者さんが安心、安全に治療を受けることができるようラバーダム防湿をおこなっております。

※ただし、ラテックスアレルギー(ゴムのアレルギー)や鼻呼吸ができない人などラバーダムを使用できない場合もございます。

患者さんにはこのラバーダム防湿について十分理解していただき、また、何か気になることがございましたらお気軽にご相談ください。

本記事作成者

豊中市 千里山田兄弟歯科

歯科医師 米田

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